超高齢化社会に備えて(平成9年)


 広島県知事は、知事就任のとき、「日本一住みよい広島県をつくる」と宣言されましたが、現在は、地方行政にとって「高齢者の医療と福祉」こそ重要な政策でなければならないと思います。


中でも、深刻かつ緊急なのが老人医療の問題です。

老人医療は、言うまでもなく、主として老人病院で対応することになります。ところが、広島県内でも人口が集中している広島市においては、地価が高いことが大きなネックになり、老人病院のベットの数が他地域に比べて著しく少ないことが関係者によって指摘されてきました。

老人病院を公立で作ろうとすれば、莫大な税金を投入しなくてはなりませんでした。また、民間で開設・経営しようとしても、当初の巨額な資金に加えて、パラメディカル(医療従事者)面において相当な力をもった方でなければ、まず不可能なことです。

 

地域からようぼうされた老人病院を開設するため、力も実績もあり、広島市における老人医療に強い意欲をもった病院を探し当て、紆余曲折の誘致交渉を繰り返して、やっと開設にこぎつけたわけですが、その過程において、医師会や県医療審議会、さらには病院の開設や増床の許可を与える広島県(医療対策課)に、大きな問題があることがあることがわかりました。

 

 本書は、県民誰しも望んでやまない老人病院がどのように開設されたのか、その経緯を明らかにすることで、「日本一住みよい広島県」が本当に実現できるかどうかを皆様に考えていただき、また、行政においては、法に則った公正な行政の執行をしていただくことを節にお願いするため、発行しました。