誰も語らない広島県教育の問題点(平成9年)


 これまでに「教育正常化をめざして」「『教育県広島』は再生できるか」という二冊の本を出版し、「病める広島県教育」の異常な実態を明らかにするとともに、その正常化は広島県民が一体になって考えるべき課題であると、県民、市民の皆さまに訴えつづけてきました。


一部の人権団体と教職員組合が連携して広島県教育委員会(なんと言っても本県教育大本である)に強い影響力を及ぼし、正常な教育を妨げている状況はいまだに改善されていません。

その人権団体とは部落解放同盟であり、その運動の特徴は、始終天皇制と日の丸、君が代、元号に反対し、それをそのまま教育現場に持ち込むことあります。彼らはまた、学習指導要領に則った教育をしようとする良心的な教育関係者に対しては、「差別・選別の教育をする者」という偏見に満ちたレッテルを貼り付け、競争原理によって学力向上を促そうとする、正常な教育を妨げています。

 

彼らの、「選別反対=差があってはいけない」という特異な考え方によるならば、学力試験も運動競技で優劣、勝敗を競うこともできないわけで、現実に多くの小・中学校の運動会プログラムから徒競走が消えています。つまり、能力、学力を伸ばす方向ではなく、能力の低い子供に合わせて画一的で平準化された、いい加減な「教育を行っているのです。」

 

この結果、平成七年度のセンター試験における広島県の平均点は、総合平均で506.3点、全国47都道府県中、42位になっています。また、広島県内の公立高校から広島大学への入学者数は、わずか367人、11.9%(平成九年度)となり、かつて75%以上の入学率を誇っていた頃の本県教育との落差に、語る言葉もありません。

 

それらの原因は、先に述べた一任意団体にすぎない部落解放同盟の強引な運動による本県教育への介入と、それを後ろ盾とし、法律を守ることよりも自分達のイデオロギーや都合にあわせた教育観を優先して活動する広教協(広島県教職員組合、広島県高等学校教職員組合)の連動にあることは明々白々の事実です。彼らの運動が多くの子供たちを不幸にしている、といっても過言ではないでしょう。

 

いま目を広島県から全国に転じてみると、彼らの教育介入によって生じた、偏向した教育状況は日本の諸裏にかかわる大問題として取り上げられつつあります。平成9年4月3日、東京地方裁判所に「検定教科書履修義務不存在確認等請求訴訟」が提訴されましたが、原告団はその訴訟趣旨を次のように述べています。

 

・・・平成九年度から使用開始となる中学校の検定教科書は従来までの南京大虐殺などの虚偽記載に加えて、いわゆる従軍慰安婦までが登場し、日本の近現代史を全否定する東京裁判所史観やコミンテルン史観に彩られた反日思想書といっても過言ではありません。このような反日思想書で次世代が教育されてはわが国は亡国への道を転落することは必至です。私達は今こそ広範な国民運動によって占領政策の洗脳教育から脱却して健全な自立教育を目指さなければ、取り返しがつかない事態になるとの危ぐから、その国民運動の起爆剤となることを願う…

 

 本書では、こうした全国の教育正常化に向けた諸潮流も視野に入れつつ、「病める広島県教育」の実態を事実に即して解明し、偏向教育の病巣となっている部落解放同盟と広教組、高教組による運動の実態を追跡してみることにします。好都合にも、解放同盟はその機関紙「解放新聞」に運動のねらいや状況を詳しく掲載しており、広教組や高教組もまた、逐次、組合員に対して運動方針の徹底のために多くの資料・通達を出していますから、それらの資料に基づいて精密に検証することとしました。